【野良の子猫】飼うか悩んだ話
猫を飼う願望
野良の子猫との出会い
古い家に迎え入れた現実を想像して
「野良猫を保護」? 様々な考えに悩む
「飼いたい」より「飼うしかない」
・猫を飼う願望
10年ほど前でしょうか、猫を飼いたい願望が芽生え始めたのは。
実家で1人になって寂しかったのかもしれません。
ただ、飼ったことがない上、母の介護もある、いつ仕事も転居を伴う転勤があるか分からない…等、現実的ではありませんでした。
だから、YouTubeなんかで他人の飼っている猫の映像を見ては、「いいなあ」って憧れだけ。
その頃、私の一人住む実家の4畳ほどの小さな庭に、遊びに来る野良猫がいました。
黒猫です。
猫を飼いたい私にとっては興味津々。
黄色いお目目にまん丸の真っ黒な瞳。
「かわいい」。
思わずエサを買ってきて置いてみました。
むやみにエサをやるのはよくないのですが、「懐かないかなあ」って願望だけが先走っていました。
エサを食べてくれるようになりました。
ただし、近付けはしません。
一定の距離は置かれてしまいます。
それでも、何か毎日のように来てくれるのが楽しみになりました。
でも、何か月かすると、黒猫はなぜか来なくなりました。
少し寂しいものの、「どこかへ行ったのかな」くらいに感じていました。
しばらくすると、今度は白猫がたまにくるようになりました。
その猫は人懐っこく、触らせてくれました。
おとなしい猫です。
でも、飼い猫でもなさそうです。
冬に、発泡スチロールの箱を置いてみると、中で丸まって寝ていることがありました。
何とも嬉しい。
飼ってる気分を疑似体験しているようでした。
エサをあげるだけ。
責任もない。
猫も気が向いた時に来るだけ。
飼いたいとは言っても、そのくらいの気楽さが自分にはちょうどいいのかも、とも感じていました。
やがてその白猫は、近所の他の家の前でエサ待ちするようになり、うちには来なくなっていきました。
気が付けば、近所に野良猫がどんどん増えているように感じました。
知ってるだけでも10匹はいたと思います。
繁殖しているのでしょうか。
近所でふん尿も散見されました。
それを見かねてか、町内の猫好きの方何人かで、地域猫の活動を始められたようでした。
どんどん「さくら猫」になっていきました。
片耳にV字のカットが入っている猫です。
地域猫の印です。
参考: 地域猫活動について|公益財団法人 日本動物愛護協会 (jspca.or.jp)
何年かして、新たに白と茶の2色の猫が来るようになりました。
地域猫です。
猫が訪ねてくると何とも元気が出ました。
またエサをあげました。
私とは距離をとりながらも、食べてくれました。
でも、近寄るとやはり逃げます。
大きいけど、おとなしい猫です。
男の子のようです。
年齢は不詳。おそらくまだ若い成猫です。
2色なので勝手に「二毛(ニケ)」と呼んでいました。
ちょこちょこ来るようになり、また日々にハリができました。
子猫で、懐いてくれたら飼うのに、などと内心身勝手なことも考えたりしました。
冬には発泡素材でできたネコハウスを買って置いたりしました。
気に入ってくれたようです。
ちょこちょこその中に入って寝てくれるようになりました。
「やった、嬉しい」。
「猫の飼い方」みたいな本も買ったりして、飼いたい気持ちがヒートアップした時期もありました。
休日はペットショップへ立ち寄ったりもしました。
子猫を見ては、「かわいいなあ」と飼ったことを妄想しながら癒されて帰るのです。
「抱っこしてみたいなあ」とか、付いて回られたり、寝てるとこに横で寝てたり…、そんなことをイメージしていました。
飼うとしたら、ペットショップで買うのは高すぎます。
保護猫? それも意外とハードルが高く感じます。
野良猫? 子猫からと思うとそんな簡単には出会いません。
飼いたい願望はあっても、現実的に「やっぱりエサやりだけの気楽な方があってるのかな」と、改めて感じてもいました。
ちょこちょこ来る地域猫で癒されているのが実情でした。
・野良の子猫との出会い
猫を飼いたいと思いつつも、地域猫にエサをあげて喜んでいるような日常が続きました。
そんな夏のある日、隣の家との境界線の塀の上に猫の親子の姿が。
親1匹、子猫1匹。複数産む猫にしては珍しい。
親は白と黒。子猫はグレーと白のサバ柄。
そのかわいさに「おいでー」なんて声を掛けましたが、さっさと去ってしまいます。
どちらも地域猫ではなさそう。
新しくどこかから移動してきたのかな。
その後、2~3回親子で見かけたでしょうか。
それが数週間くらい後、子猫がたった1匹で現れました。
「お母さんどうしたんやろ?」
声掛けすると、相変わらずササッと逃げていきます。
仲良くなりたいなあ、と漠然と思ってました。
ペットショップなんかにいる子猫は、だいたい生後3か月くらいです。
その子猫たちの大きさと比べると、この子猫は生後4~5カ月ほどに思えました。
そのうち、塀の上から私の実家の敷地内に来るようになりました。
陰に隠れながら。
警戒心は相当です。
どうやらちょこちょこ来る地域猫、「ニケ」にあげたエサを食べに来ているようでした。
すっかり母親は見かけません。
いったいどうしたのか。
「この子、お腹が減ってるんかなあ?」
よほどお腹が減ってるのでしょう、とうとうニケがエサを食べている最中に「ニケのエサ」を奪いに来たのです。
しかも私も見ています。
なりふり構わず。必死です。
ニケはやさしい子です。
おとなしいいい子です。
何も抵抗せずに譲ってあげてました。
子猫にやさしい。
私が慌てて近づくと、子猫は「シャーッ」と怒りながら逃げます。
でもすぐに戻ってきて食べ始めるのです。
そんなことが続きました。
そのうちにニケは来なくなり、代わって子猫がエサを食べに来るように。
でも決して私には近づかず。
「シャーッ」と警戒しながらも、エサを皿に入れると急いで食べに来るようになりました。
「かわいい」。
たまらなく愛おしく感じました。
そのうちに「シャーッ」だけから、「シャーッ、ミャアッ」に変化。
怒って甘えてみたいな。
どういう意味なのか。
少し警戒が解けてきたのかなと感じました。
そのうちに、私の近く1m圏内まで来てくつろいだりするようになりました。
出会ってから約1か月半ほど、とうとう家の敷地に住み着くようになりました。
ほとんど外へは行かず、狭い敷地内にいるのです。
そして、早朝はエサをねだって「ミャア、ミャア」大声で鳴いて起こされます。
寝ているところまで丸聞こえ。
戸を開けると待っています。
だんだん足元にすり寄ってくるようになりました。
たまらないほど嬉しい。
だから眠いのにこっちも必死で起きていくのです。
生活パターンまで変わり始めました。
夕方は仕事から帰ってくると、何を察するのでしょうか、お出迎え。
すでに「ミャア、ミャア」鳴いています。
かしこいもんです。
自分の落ち着く場所をちゃんと見つけます。
ニケのために買った「ネコハウス」も乗っ取りました。
気が付けばいる。
ニケも遠慮してか来なくなりました。
子猫にやさしいからでしょうか。
雨よけのトタン板も立てかけたりしました。
すっかりくつろいでる様子。
それが何とも愛おしいのです。
癒されました。
残暑が厳しかった夏。
でも秋が深まってくるとけっこうな冷え込む夜も。
そんな夜は心配でした。
見に出ると、ネコハウスの奥で丸まっています。
「寒くないかなあ、暖かいかなあ」。
いつも気になってしまうようになっていました。
来る日も来る日も、敷地内で一人で遊んではネコハウスでくつろいでいる。
逆に心配にもなりました。
ここでエサをもらえることが当たり前になっている。
私を頼っている!?
責任を感じました。
そのうちに、母親がこの子猫に時々攻撃に来ているのを目撃しました。
そんなことってあるのか。
びっくりです。
調べてみると、本能で生後何か月かすると、子離れしてひとり立ちさせるんだそう。
そのうち自分の子供だったことも忘れて、縄張りを守るために攻撃することもあると知りました。
私は、母親が敵に見えてきました。
「この子を守らねば」。
「俺は親かっ?」、心の中でツッコミました。
子猫の成長はびっくりです。
初めて見掛けた時から1~2か月、それだけでもずい分大きくなっています。
1年で成猫。
人間では考えられない成長の早さ。
そんな頃に、たまたま出かけようとしてカギをかけていた時です。
町内の地域猫を世話されてる女性が、話し掛けてこられました。
順次捕獲して新たな猫を地域猫にしていってるのだとか。
なんと、うちに来ている子猫のこともすでに把握されていて、母猫はすでに地域猫になったとのこと。
次はうちに来ている子猫がターゲットのようでした。
もちろん、猫のことを思って活動されているので、素晴らしいことです。
ただ、ショックだったのは、すでにうちに住み着いてることを把握されていたことです。
そして私に、捕獲して地域猫にすることを、事前に知らせに来られたのでした。
とっさに「少し準備に時間が掛かりますけど、飼おうと思ってるので、地域猫は待って下さい」と言ってしまいました。
その女性はすごく喜んでくれました。
しまった! 言ってしまった。
ただ、心の中では考え始めていました。
この子をうちに迎え入れることを。
でも、まだ現実的には思えていませんでした。
宣言してしまったことで、本格的に考え始めました。
確かに、本格的な冬が目の前です。
京都の冬の底冷えは有名です。
京都市の街中では、雪は滅多に降らないけれど、冷え込む朝は、芯まで冷えます。
急がねば。
・古い家に迎え入れた現実を想像して
飼うと宣言したけれど、築50年近くなる古い家。
断捨離も重ねてるけど、まだまだ雑然と多くの物がごった返しています。
こんなところで飼えるのか。
同じような古い家で飼ってる人の家の中を見学してみたい、とか模索していました。
かわいいだけでは済まされない。
飼ったことがないから、想像ができない、実感がない。
時々、思考停止状態。
■もし迎え入れるとしたら何が怖いか
・部屋中、毛だらけ
・部屋中、傷だらけ
・コンセント・配線・小物・台所…、猫にとって危険なものは多数
・留守番をどうするか
・夜中に走り回られる
・爪切り・シャンプー・ふん尿・病院…、自分にできるのか
・世話がずっとできるのか
・旅行ができなくなる
・常に留守中心配
・飼うための費用がどれくらいかかるのか
等々
自分の居住する居間や台所は、危険がないように片付けるにしても、尋常ではありません。
今日の明日のではとてもできません。
古い家だから多少の傷はしょうがないとしても、毛だらけはどうなんだろうか。
布団で一緒に寝るのが憧れだったけど、いざほんとに寝たら落ち着けるだろうか。
大好きな旅行に気軽に行けなくなるのはどうなんだろう?
耐えられるのか。
仕事中はケージに入れておく?
そんなことに猫は耐えられるのか?
かと言って、部屋中解放したら危ないし…。
いろいろネットでも調べました。
賛否両論。
結局は自分次第。猫次第。
居間に住まわせることが前提では、気持ちに決着がつきませんでした。
そんな時に閃きました。
そうだ2階の和室に専用部屋を作ろう。
よくよく考えたら、この実家、私一人住まい。
2階は長年、ただの物置状態。
ここを使わない手はない。
特に床の間入れれば10畳の和室、ここを改装すれば猫専用部屋になるのではないか。
そうすれば、猫にとっての快適な部屋も作れる。
■猫にとって
・遊べるスペースができる
・出窓もあって外が眺められる
・2階なので高い眺め
・南側なので日差しもある
■人間にとって
・猫の誤飲やケガ、荒らされる不安が減る
・猫の毛だらけや、部屋の傷だらけも最小限で抑えられる
・見守りカメラをつければ、留守中も状況が見られる
・脱走の心配は減る
「そうしよう」。
気持ちが少し晴れやかになりました。
・「野良猫を保護」? 様々な考えに悩む
この子猫を飼うスペースや、旅行に行けるかどうかなど、自分の中で消化していきました。
悩むけれど、何とか折り合いを付けていきました。
ただ今度は、この子猫の「どこへでも好きな時に好きなところへいける自由」を奪っていいのか、「野良猫を保護」とよく言うけど、それは人間のエゴではないか、と言う悩みがもたげてきました。
この子猫はおそらく生後半年程度。
今、家の敷地内に住み着いてるものの、いずれ行動範囲が広くなる。
外の空気を吸い、興味の赴くままに行動できる。
もちろん、常に敵もいて、警戒も必要だけど。
その自由を奪うことになるのか。
また、ネットでいろいろ見ていると、いろいろな意見がありました。
生まれた時に野良猫なら、「野生」じゃないかと。
野生なら食うか食われるか、ある意味食べられなくて死んでも、それは自然の摂理だと。
世の中の野生動物を保護するなんて人間のエゴだと言うのです。
それも分かる気がしました。
そう考えると「保護」という言葉が、すでに人間のエゴです。
ただ、世の中の野良猫で、ケガしてるとか、瀕死の状態なら「保護」です。
元気な野良猫を「保護」と言うのは何なのか?
HSPの私はそんなことも深く考えてしまいます。
保護活動をされている側の意見はどうか。
「保護」と言うのは、つまり「猫は飼われていることが前提」ということです。
ヤマネコなど、そもそも野生の猫は獲物を獲って生きています。
でも、街中の野良猫は、人間が飼っていたのに何らかの事情で捨てられて、野良猫になり、繁殖してしまったもの、ということです。
街中の野良猫は、自由そうで、実は生きる環境が過酷です。
だから「保護」と言うのか、と。
少し納得しました。
ならば、うちに住み着いた子猫も「保護」でいいのか、と。
勝手な解釈ですが、飼う方向で考えたい私が納得するための理屈探しでした。
心の奥底では、迎え入れる思いがあったからこそです。
そして、飼うにしても、「猫専用部屋」で飼うことについても悩みました。
いい閃きだったけれど、人間の都合に合わせただけじゃないか。
■猫にとって1部屋でずっとはどうなのか
・寂しくないか
・狭くないか
・2階の猫専用部屋だと猫とふれあう時間が少なくなる
これもネットで自分の納得できそうな意見を探し回りました。
中には、「自分が一生1部屋で暮らしてみれば気持ちが分かる」、なんてキツい意見もありました。
猫専用部屋だけでも大丈夫と言う意見も多くありました。
猫は上下運動が大事なので、キャットタワーや清潔で落ち着ける環境を整えてあげれば、大丈夫とありました。
他には、人間がいるときだけ全部屋解放し、留守中は猫専用部屋に、と言うハイブリッド型の人も。
いずれ落ち着いたらハイブリッド型も視野に入れつつ、と自分を納得させていきました。
・「飼いたい」より「飼うしかない」
いろいろ悩みました。
自分に飼うことができるのか。
決心できないまま、日々が過ぎていきました。
そう思いながらも、真冬が近付いてきます。
地域猫にしてもらうのか、うちに迎え入れるのか。
すでにうちに迎え入れると宣言してしまってもいる。
どんどん大きくなる子猫。
見た目は、すでに子猫ではありません。
私は出会った頃、小さいので「チビ」と呼んでいました。
すでにチビではなく、デカい。
でも、「チビ」そう名付けました。
心の奥底では決めていたのでしょう、どんな段取りで迎え入れるか準備の仕方を考えていました。
ただ、不安や飼っていいものかの悩みもつきまとっていました。
でも、何かの縁です。子猫とも出会いです。
実は、亡き母が認知症になり、施設でまだ何とか片言で反応できる時、母が病床で私に突然言ったことがあります。
「猫になりたい!」
私は突拍子もない発言に驚いて「なんで?お母さん」と聞き返すと、母は「猫になったらあんたと一緒に住める」と言うのです。
その後は反応はなく、真意は分かりません。
ただ、スピリチュアル好きの私はとっさに思いました。
「私が猫を飼いたがってるのが伝わったのかも」と。
そんなこともあって、この子猫はもしや「母」の化身ではないかとさえ、勝手に感じたのもあります。
とにかく「ご縁」です。使命感です。
ここまで世話して、すっかり私に頼っているこの子猫の面倒は、看ないといけない。
「飼いたい」ではなく「飼うしかない」がほんとの心情です。
そして動き始めました。
【X(Twitter) Instagram 共に "hikoojisan"でやってます】
◆X(Twitter)→ https://twitter.com/hikoojisan321
◆Instagram→ https://www.instagram.com/hikoojisan