営業の本質

生保営業に長く携わってきた私が「営業の本質」について考えてみました。
これから生保営業の仕事を考えられている人に読んでもらえたら嬉しいです。




 

~目次~

1.営業の本質
2.鍋ブタを売る少年「てんびんの詩」の話
3.自分の営業経験から
4.人が物を買う気になる時 私の経験した事例
5.まとめ

1.営業の本質

営業=物を売る

多くの人がイメージされると思います。

「営業の本質」というと近江商人の言う「三方よし」(売り手よし 買い手よし 世間よし)
とか
「相手の役に立つことを提供すること」とも言われます。

確かにその通りだと思います。

ただ私は人生そのものが「営業」の連続だと思っています。

何も家族や友人にまでおべんちゃらを言って付け入るような意味ではありません。

私が言いたいのは自分が「信頼を得る」ことの大切さです。

常に誰かと関わるかぎり、自分という人間を分かってもらう努力を知らず知らずにしています。

子どもの頃は友達になるのにお互いの「同じところ」を見つけて仲良くなります。例えば「眉毛がおまえも濃いなあ」とか「おまえも背が低いなあ」とかちょっとした同じところを見つけて仲良くなったりします。
大人になるとどうでしょうか。自分と「違うところ」を探し、少しでも自分が優越感を得ようとしてしまったり。例えば「この人はこんな性格の悪いところがある」などと差別化していこうとしがちです。
逆に「あの人はすごいできる人だ」と自身の肯定感を下げてしまう場合もしかりです。

少し話はそれましたが、大人になればなるほど余計な固定観念が邪魔をします。他人に信頼を得ようと思えば、子どものように「同じところ」を見つけることを意識しないと無意識に「違うところ」を探してしまいます。
「信頼を得る」とはそんな原点に立ちながら、相手への思いやり、共感、誠実さ、そして自分を分かってもらう努力の延長線上にあると思うのです。

「三方よし」(売り手よし 買い手よし 世間よし)も
「相手の役に立つことを提供すること」も商売では「信頼を得る」ための大事な考え方。よく言う「マインド」ってやつです。

 

外国と日本の価値観の違いは私には分かりません。しかし少なくとも日本はそうだと思うのです。

例えば私の仕事である生保営業の場合、私が客の立場ならどんなに素晴らしい商品やプランでも嫌だと感じる営業マンからは絶対に買ってたまるかくらい思ってしまうと思うのです。

 

自分を認めてもらう ⇒ 好かれる ⇒ 信頼を得る

2.鍋ブタを売る少年「てんびんの詩」の話

・鍋ブタを売る少年「てんびんの詩」

入社した頃、鍋ブタを売る少年「てんびんの詩」というビデオを見る研修がありました。

こんな内容です。

近江の大きな商家に生まれた少年が小学校卒業時に、父は祝いの言葉と共に一つの小さな包みを手渡した。
中には鍋のフタが入っていた。
彼には意味がわからない。
だが、その何の変哲もない鍋ブタが少年の将来を決めることになる。
父はそれを売ってこいという。売ってこなければ、跡継ぎにはしない、と言われた。
しかたなく、少年は鍋ブタを売りに歩く。
まず店に出入りする人々に押し売りのようにして勧める。
だが、そんな商いがうまくいくはずもない。
道ゆく人に突然声をかけても、まったく見向きもされない。
親を恨み、買わない人々を憎む少年。
父が茶断ちをし、母が心で泣き、見守る人々が彼よりもつらい思いをしていることを彼は知らない。
その旅は、近江商人の商いの魂を模索する旅だった。
行商人のようにもみ手をし卑屈な商いをしても、乞食をまねて泣き落としをしても、誰も彼の鍋ブタを買うものはいない。

いつしか少年の目には涙があふれていた。そんなある日、農家の井戸の洗い場に浮かんでいる鍋をぼんやりと見つめながら、疲れ切った頭で彼は考える。

「鍋ブタがなくなったら困るやろな。困ったら買うてくれるかもしれん」。

しかし、次の瞬間には

「この鍋ブタも誰かが難儀して売ったものかもしれん」。無意識のうちに彼は鍋ブタを手に取り洗いはじめていた。不審に思った女はなぜそんなことをしているのかと尋ねた。

少年は、その場に手をついて謝った。

「堪忍して下さい。わし悪いやつです。売れんかったんやないんです。物を売る気持ちもできてなかったんです」

女は彼の涙をぬぐいながら、その鍋ブタを売ってくれというのだった。”

参考引用元サイト:てんびんの詩 (tenbinnouta.ciao.jp)

ここから鍋ブタはすべて売れ、父親にも認められるって話だったかと思います。

入社当時は「ふーん」て感じで見てましたが自分が営業をしてみて実感しました。
「まずは自分を売れ」「保険営業は断りから始まる」と当時よく言われたものです。

マーケティングがどうとか、営業トークがどうとか戦略や技術はその根底にあるマインドの上にあるのだと感じます。

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3.自分の営業経験から

私の入社後の営業経験、飛び込みのみの営業実践を経験しました。1日に何十軒も飛び込み、そしてアンケートのお願い。来る日も来る日も決められた地域でそのくり返し。断り、不在の連続。HSP気質の私には心のエネルギーを消耗する毎日でした。

そしてアンケートに答えてくれたご家庭には2回目3回目となじんでいただくために情報の提供で回りました。数カ月経ってもなかなか保険提案を切り出せません。当時は断られた瞬間から2度と行けないと恐れていたからです。他の同僚はボチボチ売れ始めているのに自分は全くその気配なし。同僚との競争にもかなり焦りました。

そんな頃少しなじみ始めたあるご家庭を訪問した時、お客様の方から「保険を売るために回ってるんでしょ?」と聞かれ「はいそうです」と答えたら「提案もってきて」と。全然提案を切り出さない私を心配していただいたんだと思います。第1号のお客様です。帰りに涙が止まらなかったのを覚えています。
その後、他のお客様からもお声が掛かるようになり保険が売れるようになっていきました。ただかわいそうに思われてただけかもしれませんが(汗)。
私自身は何度も顔を合わせていくうちになじんでいってるのが実感できました。「信頼を得ること」の大切さを学ばせていただいた素晴らしい経験です。

4.人が物を買う気になる時 私の経験した事例

2つ、自分の経験から「人が物を買う気になった瞬間」の事例を話します。
「売り方」や「営業のテクニック」的な事例でもありますが、「信頼を得ること」という本質を踏まえて感じ取った経験です。

事例①

ある家電量販店で若いカップルが冷蔵庫を見ていました。そこに若い店員がすぐそばに行き、それぞれの冷蔵庫の性能を語り始めました。確かに詳しく勉強してる感じでしたが性能をこんこんと語っていました。明らかにカップルは引いていて早く逃げたい風でした。若い店員はその気持ちを感じ取れず、「売り込み」に必死でした。やはりそのカップルは逃げました。

その後戻ってきて、しばらくそのカップルはいくつかの冷蔵庫を見てそわそわ周りを見始めました。店員を探してたんでしょうか。そのタイミングでベテランそうなおじさん店員が見計らったように「冷蔵庫お探しですか」と何気なく近づきました。カップルは少し質問した後、店員は「新婚さん?」。カップルは「いえ、今から」。店員は「それはおめでたいですね。この先お子さんができた時も考えたらこの冷蔵庫ならスイカ丸ごとドーンッと入るしね」イメージの涌く話をしたのです。その瞬間カップルはその冷蔵庫に決めてました。

話しかけるタイミングといかに買った後の役立ってるイメージが顧客にイメージできるかは大切なことです。
営業のテクニック的な側面もありますが、この店員ならと安心感、つまり信頼も同時に持ってもらえたのだと思います。

時間をかけて信頼関係は築いていくものではあるものの、こういった一瞬で得る信頼感もあるんだなってことですね。勉強になりました。

事例②

私が若い頃、車を事故で全損にしてしまい、新しい車がすぐにでも必要で中古車を見に行った時のことです。何とか事故の損害保険金で賄えそうな車を見つけた途端、若い店員が駆け寄ってきていきなり「これにされますか?」。気持ちが引きましたがいくつか傷などがある車だったので質問しました。すると店員は「それが直ったら買ってくれますか?」の連発です。
さすがに腹が立って帰ろうとしたときに事務所の奥から店長らしきおじさんが出てきて「どうされましたか?」と言われ、つい愚痴りました。
店長らしきおじさんは「そうでしたか。申し訳ないですね。PCで全国の中古車データも見れますから参考に見るだけ見てって下さい。買わなくってもいいですよ」。

単純な私はその後最初に見た展示の中古車を買う手続きをしていたのでした。

たまに来てずっと居座る。何度も来てサッと帰る。前者はしつこい、後者は熱心、と思われるようです。
ズカズカ行くのがいいとは限らない。聞き上手がいい。営業の仕事は人との間合いが、これも「信頼」につながる大事なことだと実感しました。

5.まとめ

「営業の本質」とは何かについて私見を書いてきました。

営業の本質は自分が「信頼を得ること」

 

みなさんはどう思われますか。当たり前だという人もいるでしょうし、それはおかしいと思う人もいることでしょう。

世の中、「売らんかな」の思いが先行している企業や商売人も少なからずいます。

この記事は自戒の念もこめて書きました。

みなさんの中で営業に携わっている人だけではなく、人生そのものも自分はどうだったかなあとご一考される機会になれば幸いです。

 

 

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